(VOVWORLD) - ベトナム人向けの原付きバイク免許試験の参考書を大阪市内の出版社と、人材紹介を手がける会社が作成し、出版した。言葉の壁により、免許取得に苦労する在日ベトナム人を支援しようと企画。(読売)
ベトナム語で解説された原付きバイクの参考書は珍しいといい、利用者からは「わかりやすく役立つ」と好評だ。(松久高広)
ベトナム人を中心とした人材紹介や、本の出版などにも携わる建築設計事務所「ワークス・ワン」(大阪市西区)の取締役、柳井正彦さん(49)が中心となって企画した。
ベトナムではバイクの普及率が高く、原付きバイクの免許取得を希望する日本在住者は多い。近年、同社には、在日ベトナム人から「母国と同じように利用したいが、日本語が難しくて試験勉強ができない」などの声が多数寄せられていた。
しかし、ベトナム語の参考書の販売はほぼなく、学習の際の高いハードルとなっていたという。そこで、柳井さんは各種資格の教本を手がける出版社「弘文社」(同市東住吉区)に企画を持ち込んだ。在日ベトナム人の増加を背景に「需要は高いはず」と、出版が決まった。
内容は、柳井さんとワークス社のベトナム人社員が練った。右ページはベトナム語、左ページは日本語という構成で、イラストを添えながら交通ルールなどを解説している。
2人乗りの禁止や踏切前の一時停止といった基本的なルールのほか、「原付きバイクは時速30キロ以上で走ってはいけない」といった〈引っかけ問題〉(正しくは時速30キロを超えて)などにも対応した丁寧な翻訳を心がけ、昨夏に完成させた。
府内では昨年10月、原付きバイク免許の学科試験(筆記試験)でベトナム語が採用されたばかり。以前よりも受験環境は整ったが、作成に携わったワークス社の社員でベトナム人のグエン・フォン・ハイさん(29)は「ベトナムでは右側通行など日本とルールの違いも多く、十分な学習が必要。助かるベトナム人は多いはず」と話す。
利用者からは「1回の試験で合格できた」などと評価の声が上がり、これまでに約2000部を発行。柳井さんは「少しでも在日ベトナム人の生活が豊かになる手助けができれば」と話している。
参考書はA5判256ページ、税別2300円。問い合わせは弘文社(06・6797・7441)。